浅草演芸ホール

 昨年に引き続き、2020年の初笑いを浅草演芸ホールで済ませた。正月は顔見世興行ということもあり、演目をじっくりと聴くことは出来なかったが、各出演者の持ち時間10分に満たない中、古典落語の一節のみをかいつまんで、短い中で笑いを取る噺家の姿は大変勉強になるところがあった。午前9時から始まる一部から四部まであり、私は4時からの三部の最後、昭和こいる師匠から入場した。

 本来であれば昭和のいる・こいる師匠とのコンビであるが、ご病気とのことでピンでの登場であるが、のっけから、「元旦から天気がよくてねぇ、でもね、さっきね、雨がぽつぽつとね…」と話し出すと会場がどよめいた。さっきまで本当に快晴だったからだ。即座に「あぁ、嘘なんですけどね」と言って笑いをさらっていった。予想だにしないバカバカしさに思わず笑ってしまうのは、ベテランの成せる技といったところか。その後は芸とも言えない芸を林家ペーから見せられるという謎の時間があったり、主任の器では無いにも関わらず、林家三平の息子というだけで主任となっているであろう林家正蔵の去年と全く同じネタの枕と大して面白くも無い「竜馬が行く」を題材とした彼のオリジナル演目を押し付けられるという苦行があったものの、人気落語家、春風亭一之輔による団子のくだりのみの「初天神」は短いながらも大変面白かった。見せ方の上手さとは大切だ。

 今回、私は柳家小三治師匠が高座に上がる第四部を楽しみに来た。何しろ去年の小三治師匠の面白さに大層感銘を受けたからだった。しかし、今回は違った。客席からの「待ってました」の掛け声も空しく全然知らないお歌を歌ってお帰りになられただけで終わってしまった。大変残念ではあるが、仕方ない。師匠ももう80歳だ。近いうちに真骨頂を拝聴したく、末廣亭あたりに行こうと思う。今回は、人気があるのは知っていたが、実際に聴くのは初めての師匠方も何人かいらして、人気噺家である柳家喬太郎師匠を拝聴できたのは収穫であった。次は是非、古典落語で高座に上がったところを拝聴しようと思った。第四部の主任を務める程の実力、柳家さん喬師匠による「天狗裁き」は正月らしい初夢について枕とされ演目へ入り、三部とは違って流石の一言であった。

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