タモリ倶楽部2020年8月28日放送回

安倍首相が辞任を発表した。

毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部は、開催を見送った浅草のサンバカーニバルを憂いた。

白地に赤と青のチェックの半袖シャツで登場する夏らしい出で立ちで、新型コロナウイルスの影響により各地のお祭りが中止となっている昨今の状況を残念がるタモリ。

ゲストは和牛の二人、水田信二と西川賢志、サンバカーニバルの解説者として浅草サンバカーニバル出場チーム「G.R.E.S.ボスキ・ダ・リベルダーヂ」からサアヤ先生。サアヤ先生は本場リオ・デ・ジャネイロの名門サンバチーム「メンゲイラ」のダンサーとして日本人初出場、これまでに4度の出場経験を持つ。

「東京のお祭りと言えば浅草のサンバカーニバル」と台本通りに言っているだけで全然そんなことは思ってなさそうな西川と、サンバにもカーニバルにも大して興味も無く、適当なサンバ風ステップを踏みつつ登場する水田。

北半球最大と言えるサンバイベント「浅草サンバカーニバル」が来年に延期されたことを告げる渡辺美佐のナレーションが入る。延期されなければサンバカーニバルは39回目を迎える予定だった。そこで、今回の企画はサンバダンサー達を救済すべく「浅草の夏を忘れない!おうちdeサンバカーニバル!!」と題し、リモートでサンバを披露してもらうというもの。

西川がサアヤ先生の経歴を説明し、「ブラジルみたいな人数多いところで出場するなんてすごいですよねと」薄いコメントで対応する水田。それに笑顔で「お前の言うことは近いようで遠いんだよな」と指摘するタモリ。

ここで「意外と知らない浅草サンバカーニバル:実は真剣勝負のコンテスト」のフリップにて説明する西川。サアヤ先生によると、リオ・デ・ジャネイロのカーニバルをお手本にしており、S1・S2と2リーグ制のコンテストだそう。S2リーグで優勝するとS1リーグに昇格するため、S1リーグでも入替戦がある。このように、ただのパレードではなくチーム対抗のコンテストでS1・S2の約20チームが参加し順位を競う。また、アレゴリアと呼ばれる巨大な山車(だし)を準備するのも参加の条件だ。

いよいよサンバダンサー達がリモートで登場。

まずは広島からハイーニャ(女王)として登場する予定だったEkkoさん。家の中には広島カープグッズが見え隠れする。本職のダンサーなだけあって、激しさの中でもブレのない安定したステップを披露。

ダンスを終えたところで「審査の発表をお待ちください」と西川。「審査?」と驚きの様子のタモリ。「そうですよ。最終的には審査結果を発表しないといけないので」と告げられると「ちゃんと見ときゃよかった」と興味のなさっぷりが露見。

「意外と知らない浅草サンバカーニバル②」によると、踊る曲はオリジナル楽曲。音楽好きのタモリだけあって、曲が何なのかはずっと気にはなっていたそう。作詞家・作曲家を抱えているチームも多く、毎年テーマに沿ったオリジナル楽曲を制作してる。楽曲と演奏も審査項目となっており、S1リーグともなると1チームは150人以上の大所帯で構成されている。お揃いの衣装でテーマを表現する「アーラ」の人数も多い。サンバでイメージする羽をつけたダンサー(パシスタ)はチームの1割以下だ。

続いてはパシスタから離れて4年、江東区在住のちささん。畳の上で娘と共にダンスを披露。畳と衣装の違和感、畳の痛みを心配する水田。

さいたま市の自宅からは真っ赤な衣装のまゆみさん。

次に登場したのは現役女子大生で、学生寮からダンスをするまゆこさん。寮母さんに許可を取っての収録だったそう。

トリを務めたのは草加市からエリィさん。ご主人とのなれそめもサンバだ。ご主人も途中から合流しサンバを踊り出した。

自宅の環境、背景、ギャップなどを考慮し、畳の上で踊ったちささんが優勝となった。

フィナーレはスタジオのサアヤ先生・水田を含む全員でダンス。

鉄道企画以外におけるタモリ倶楽部のポイントは全員が大して企画に興味がないところだ。そして、企画対象者のマイノリティがゆえの謙虚さを持ってしてもあふれ出す愛情を垣間見るところが醍醐味であろう。しかし、今回はサアヤ先生が空気を読みすぎたのか、サンバ愛をそれほど押して来ないところが少し残念ではあった。

とはいえ、露出の激しい衣装の女性がスタジオで情熱的なダンスを披露するというシチュエーションはよいらしく、始終嬉しそうなタモリもまた一興であった。

気分だけでもブラジルへGo!

祝!ギャラクシー賞受賞・タモリ倶楽部

我らがタモリ倶楽部は先日、グーグル全面協力の鉄道企画にてギャラクシー賞を受賞した。

個人的には今回の鉄道企画はコロナ禍における苦肉の策が生み出した回、という感想しか無い。しかも今回、一番の功労者は途中から参加したホリプロの南田マネージャーであろう。

今回の鉄道企画に私はそれほど感銘は受けなかったが、タモリ倶楽部には驚くほど良作が多い。その中の一つが2012年に放送された伝説の回「プロジェクト・セックス:性の挑戦者たち」であろう。この放送でタモリ倶楽部はギャラクシー賞を受賞した。

タイトルが物語るように、「NHKのプロジェクトX」のパロディ番組である。番組のオープニングからしていつものタモリ倶楽部とは様子が異なっていた。何しろタモリのお決まりのセリフ「毎度お馴染み流浪の番組…」の挨拶が無い。

なりふり構わぬ寄せっぷりから、このパロディの完成度の高さが伺える。

この放送回でのゲストは映画監督の崔洋一と俳優でも芸人でもない、何をやっているのかよくわからないよく喋る外国人タレント・パックン、司会進行役は乾貴美子であった。ゲストの人選に多少の難はあったものの、元ネタとなった番組へのリスペクトっぷりが余すところなく発揮されていた。

タモリと司会進行の乾貴美子の元になまめかしいラブドールがソファに横たわったまま登場。タモリがラブドールの感触を確かめた後、シリコン製ラブドールの開発秘話に迫る。

医療メーカー「株式会社チェスナット」の元開発部の男性が企画会議で新商品としてラブドールを取り上げたところからこの話は始まる。しかし、皆、ラブドールを製作することに難色を示した。医療器具メーカーの技術者としてのプライドからセックス・グッズの開発に猛反発したのだ。

当初、社内に賛同する者はいなかったものの、何とか「究極のフィギアを作ろう」と技術者たちを説得し、シリコン製の四分の一サイズのフィギアの製作に着手。これが大きな反響を呼び、等身大のシリコン製ラブドールの開発への足掛かりとなった。

人間らしい骨格を維持するため、これまで人形に使う事のなかった金属の骨格を埋め込むことになった。部位によって異なる皮膚の硬さはオイルとシリコンを混ぜ合わせる割合を変化させることによって調節した。

陰毛の研究も進められ、最終的にヤギの毛を使用することが決定した。陰毛特有の縮れを出すため、毛を爪でしごいて植毛するというこだわりようであった。

陰毛の中に隠れたシリコン製の局部については、元々医療メーカーだったこともあり、そう難しいことでは無く、究極の人形の完成は目前に迫った。

だが、開発チームはここで壁にぶつかることなる。リアルな局部を持つ人形はそれだけで「わいせつ物陳列罪」に問われる可能性があることがわかったのだ。

ここで開発を諦めるのか?しかし、ここで諦めてはこれまでの努力が無駄になってしまう。社内で議論した結果、局部は着脱可能なアタッチメント式となった。開発者が唯一妥協した点はこの局部の着脱式だったという。

こうしてリアルを追求したラブドールが完成したのであるが、究極を追い求めてしまい、一体の販売価格が75万円という高額なものとなってしまった。

チェスナット社はラブドール業界においては新規参入者であり、どのくらいの需要が見込めるのか誰も検討が付かなかった。ところが、ふたを開けてみると、予想を超える注文が殺到したという。

開発者の坂井さんは発売当日、プロジェクトが失敗した時の事を考えて辞職を覚悟しており、辞表を忍ばせて勤務していたそうだ。

ラブドール開発に伴う苦悩や葛藤を織り交ぜ、開発者へのインタビュー多め、再現映像多めの力作であった。興味深いのは、10年足らず前の放送であったが、ラブドールのことを始終「ダッチワイフ」と呼んでいたことだ。放送回の中でも説明はあったが、どうやら日本特有の呼び方らしい。

面白くてエロくてちょっとためになる。タモリ倶楽部のよさがギュッと凝縮された放送回であった。

これも本当に名作!

森田一義の誕生日

1945年8月22日、終戦の1週間後、我らがタモリは福岡で生まれた。

生まれてきてくれてありがとうございます、と私は毎年、8月22日に改めて思う。

タモリの事を意識したのはタモリの代表作「笑っていいとも!」において何等かの理由により同番組にてタモリが不在であったある日の1995年頃だ。

「森田一義アワー」という副題が付いているにも関わらず、当人がいない。

私にとっては大きな驚きであった。

ジェームス・ボンド役がいない007や、ゴジラの登場しないゴジラ映画なんて映画作品としてどうかと思う。

それが、笑っていいとも!にて平然と行われていた。

もちろん、司会進行役は週に5日も司会進行をしており、何からの理由で休むこともあるだろう。しかし、実際にそのような状況を目の当たりにし、私はしばし、タモリ不在の笑っていいともについて考えることになった。

そこで気が付いたのだ。タモリは非常に優れた司会者だということに。

当然のようにそこにあるものがある日、突然なくなってみて、その有難さに気付く。タモリはまさにそのような存在であった。

以来、私はタモリをエンタティナ―として尊敬し生きている。

タモリさん、お誕生日おめでとうございます。

タモリ倶楽部2020年8月14日放送回

花火大会も夏祭りも無いお盆が過ぎようとしている。

毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部。今回は赤と白のギンガムチェックのボタウンダウンシャツにチノパンの出で立ちでスタジオに佇むタモリ。

過去に放送した「架空地図」(注・2013年7月に放送された回、『孤高の地図マニア』の回のこと。神回とも言える放送で、架空の都市『中村市:なごむるし』が登場)など、妄想の奥深さを語っているところで左から劇団ひとりが登場。

妄想の第二波が来ており、第二波の方が凄いという。そこへ初めましてと挨拶する劇作家という女性。普段から妄想して過ごしている「妄想族」だそう。光浦靖子は「バツイチ男性となし崩しに同棲を始めた」という状況(妄想)の中で生きているという。

ナレーションは渡辺美佐。今回は芸能界屈指の妄想家と一緒に和気あいあいと妄想世界を楽しむはずが… 架空世界の二大巨頭がエンジン全開。誰も知らない架空の言葉と存在しない相撲の記録に一同騒然。「創造主さんいらっしゃい!俺だけの架空ワールド」。

ゲストは芸能界屈指の妄想家がズラリ。司会進行の劇団ひとり、劇作家の根本宗子、オアシズの眼鏡の方、光浦靖子。

劇団ひとりが根本に職業柄、妄想が仕事なのではと尋ねると、それもあるが主演する俳優や女優らの私生活を妄想してしまうそう。座組を乱す人であると妄想してしまい、最悪のケースを勝手に妄想し、嫌な気持ちになってから実際の座組に入るそう。

タモリも知人の妄想好きの女性の例を紹介。姉妹で妄想するらしく、旅館の女将とその妹という設定でずっと会話をしているそう。これに光浦が「素敵ですね」感銘を受ける。

そんな妄想を更に上を行く妄想が登場すると劇団ひとりが紹介し、やってきたのは中野知宏さん。自己紹介をお願いすると謎の言語で話し出す中村さん。早速、自作の架空の言語で自己紹介をはじめ、困惑する一同。

もう一度何と言ったのか話して欲しいとお願いする劇団ひとり。ゆっくりと解説しながら自己紹介をする中野さんに「あぁ~」と納得顔のタモリ。早くも劇団ひとりに「流石にまだ理解できてない」とツッコまれる。

中野さんが話したのは「アルティジハーク語」で、中学生の頃から作り出した言語だ。現在は東京大学で言語学を専攻しながら、オリジナルの言語作りに没頭している。

タモリからは「文字もあるんですか?」との問いに「あります」と即答。文法も構造もあると説明。当然、中野さんしか話せる人はいない。

そこでタモリのハナモゲラ語もタモリしか話せないと言う劇団ひとりに「俺のは理論的じゃないから」と素直に白状するタモリ。

続いてアルティジハーク語について「世界は」という意味の言葉「オルナラ」を使って解説。アラビア語の文字と似ており、前にくる文字によって文字の書き方が変化するところが難しいと説明。

「そんなの先生のさじ加減ひとつじゃないですか」と光浦は不満そうであるが、言語には歴史や文化が関わっているので簡単ではないと先生。「英語のエッグ『egg』に見えました」と根本。「あーー、みえ・・・ないですね」と劇団ひとり。

アルティジハーク語は19の母音と17の子音から構成されており、語彙数は500あり、日常会話が可能だそう。「ただし、会話する相手は中野さん以外にいません」と冷たいナレーション。

実際に単語を練習することに。

「アエ:驚いた、うわー」「ジリヤ:助けて」「ニドレーネ:わかる」について中野さんが一通り説明すると、文字の右上の記号についてタモリが言及。中野さんはタモリに「ありがとうございます」と言うと一同爆笑。これはまさに中野さんオリジナルのアルティジハーク語の記号なのだ。ここで発音の練習。再び不明の言語で話し出す中野さんに一同あっけにとられるが、はっと気が付き「今のはリピートアフターミーって…すみません。テンションが上がってしまって」と興奮気味になったことを謝罪。

タモリ、光浦、根本の名前もアルティジハーク語で表記。シャシュショという言葉が無いので、外来語用の文字を「宗子」にあてはめたと説明したところで「そんな細かいところまで」と驚くタモリ。

言語の歴史も含めて言語を作っているので、設定が細かくなるそうだ。

中野さんは架空の惑星「アラモルダル」を作り、その惑星の中の世界がある。アラモルダル星の世界地図も作成しており、現在、200の言語を作り、その中の一つがアルティジハーク語だ。

アルティジハーク語は主にラゴン族の言語。その他にもエスケル語やトオン語などがあり、それぞれの言語に文字がある。

アラモルダルの世界地図と言語分布図を見ながら、興味のある言語を中野さんが話してくれるというので、タモリは「ビュイマー語」を選択するが、のっけから謝る中野さん。ビュイマーは口笛言語だそうで、特定の集団の中で使われている暗号のような特殊な言語だと言う。そこで口笛を吹いてみせ、「『見張り交代しろ』という意味です」と説明。一瞬、間があって爆笑。筒井康隆が指の関節をポキポキ鳴らして会話をする『関節話法』なるものを作ったが、それに近いとのタモリ談。

アルティジハーク語の「カルデ」とは晴れの日の日中専用の挨拶。自然を大事にしている民族なので、天候によって挨拶が変わるそう。ここで根本が秘密の言語であるビュイマー語に魅力を感じており是非勉強したいと申し出るが、ビュイマー族は流れ者集団という設定らしく、中野さんも詳しくは話せないそう。ここでも「何を守ってるんですか!?」と劇団ひとり。

もう一人の妄想の世界の住人は東京芸術大学大学院生の太田剛気さん。架空の国家皇州の皇州相撲の対戦結果(星取表)を披露。現在、50年分・200場所の記録を作成している。

スポーツとしてのルールは日本の相撲と同じで、これまで架空の力士たちを350名以上作り出したそう。また、最高位は横綱ではなく元帥となっていたりと、しくみが異なる。

各取り組みは太田さんの頭の中で対戦させ対戦結果を記録している。

タモリからの「各対戦の決まり手なんかもあるんですか」との質問には「これは私の失敗で決まり手を付け忘れた」そう。

光浦から「名勝負だったなっていうのはあるんですか」との問いには「勝った方が最高位元帥になるという取り組みで「だいしゅんざんみねえもん(大春山峯エ門)」と「いつつどきざん(五戸喜山)」の七番勝負だそう。勝負がつかず、水入りになって、仕切り直したところ、峯エ門が一気に仕掛けてあっさりと勝ち、勝負がついたと説明。

「え?それが名勝負なの?」の問いには「印象に残る勝負ですかね」と答える太田さん。「それこそ、さじ加減でドラマティックな対戦にできるわけじゃないですか」と言われるも、「ヤラセっぽくて好きじゃない」なのだそう。「全部ヤラセだよ!」とツッコむ劇団ひとり。

ここで皇州の歴史の教科書・古代偏が登場。紀元前から650年までの主に政治史をまとめたもの。下剋「我々の歴史の教科書よりも細かくてわかりやすい」と根本。上なども当然あったそうだ。皇州の偉人たちのひととなりについて感心する光浦。

太田さん曰く、皇州の歴史をまずは作り、そこからのスピンオフで相撲があるそうだ。尚、政権のトップが「元帥」であり、皇州相撲の最高位もここから来ているそう。

ここで名元帥も紹介。名元帥とは協会から与えられた称号のようなものなのか?という問いに、「いえ、違います。マスコミが言い出してなんとなく呼ばれるようになったもの」という回答に爆笑。

また、前述の中野さんに皇州相撲について尋ねたところ、「家に帰ってラゴン族のスポーツを考えようと思いました」とあらゆるものを吸収しようとする中野さん。

「悲劇の元帥なんかもいるんですか?」というタモリの問いに「病気で引退してしまって、引退後にすぐに亡くなった悲しい元帥がいる」と回答するも、「悲しいじゃなくて、殺したのは太田さんでしょ!」と劇団ひとり。

「治してあげられなかったんですか?」と光浦が続けると「僕の力ではどうにも…」と答えるも、「いや、どうにでもできたでしょ!」と劇団ひとり。「それはやっちゃいけないよね」と太田さんを擁護するタモリ。ちなみにその力士は「ほうおうばんざん:方央万山」。

今回は非常に濃密で爆笑する事が多かった放送回であった。タモリ倶楽部ほど良質の放送回が多い番組も珍しいが、その中でも特に本放送はタモリ倶楽部史上に残る神回と言えるのではないだろうか。

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透明人間

香港では民主化運動の活動家が香港警察に逮捕され、レバノンの首都ベイルートでは港に保管されていた硝酸アンモニウムが原因となり都市部で大爆発が起きた。

私は言論の自由を享受し、区都民税を納め、映画館へゆく。

都バスに揺られて日比谷へ行き、アメリカ映画「透明人間」を観た。

ベッドから抜け出すセクシー美女の切羽詰まった表情で映画は始まる。ベッドルームは海を一望できる絶景。海辺の小高い丘の上に建つ美しい家から美女は抜け出す。美女の名はセシリア。彼女の夫は科学者で巨万の富を得ていた。しかし、束縛の激しい夫に耐え兼ね、妹の助けを借り、夫の下から抜け出したのだった。

妹の友人宅に身を隠すも、いつか夫に見つかるのではと恐怖に怯え、外に出られず家の中にこもる日々。そんな時、夫が亡くなったとのニュースが飛び込んできた。セシリアは信じられなかったものの、多額の遺産が彼女に残されていた。

ところがほどなくして彼女の身の回りに奇妙な事が起こり始め、夫が透明人間となって近くにいることを確信する。しかし証明することが出来ない。夫の生存を証明しようとするあまり、それが裏目に出てしまい、次第に周囲から孤立していく…

セシリアの夫エイドリアンは大金持ちで、ミニマリストの境地のような非常にセンスのよい家で暮らしている。おまけにエイドリアン、よだれが出そうになるほどマッチョでセクシーで男前だ。いくらセシリアが美人と言えども、代わりとなる女性などいくらでもいるだろう。彼女に固執する理由がよくわからない。

ヒロイン・セシリアにも初っ端から疑問がある。あんな素敵な家での生活をそうやすやすと手放す理由がハッキリしない。劇中、彼女は妹と友人に「夫の束縛がひどくて…」という話をするが、片方の話だけを聞くのはフェアではない。あのセクシーな夫とあの素敵な家を離れる根拠としては弱いと感じた。

この作品はエリザベス・モスの表現する焦燥感、緊迫感、絶望感のリアルさ一本勝負の映画だと言えよう。攻撃されるにつれ強くしたたかになるところも見どころだ。透明人間の透明っぷりも、なるほど、と納得できる演出だ。そんな透明人間と始終対峙するエリザベス・モスの演技に多大に助けられた本作はヒロインのハラハラドキドキに観客も共にハラハラドキドキするサスペンス系エンタテイメント作品であった。

セシリア役のエリザベス・モスであるが、何処かで見たことがあると思ったら2015年のイギリス映画「ハイ・ライズ」に出演していた。

ハイ・ライズはトム・ヒドルストン主演。ヒロイン役はシエナ・ミラー。

よい俳優が沢山出ているにもかかわらず、B級作品。

勝どきのオアシス、かねます

今日、8月10日はハイボールの日だそうだ。

勝どきにはタモリも訪れた事があるという名店「かねます」がある。

以前、タモリ倶楽部「下町のハイボールを飲もう」の回でもタモリ本人が語っていた。ちなみに、その回の収録会場となった三ノ輪の居酒屋「遠太」は食べログ情報によると既に閉店しているらしい。

かねますは立ち飲みスタイルのカウンターのみの店で、店員はカウンターの中にいる大して愛想のよくない男性二人が切り盛りしている。地元密着型の店であるが、過剰に客に干渉しないスタイルに好感が持てる。そして何より、出される料理の一つ一つが素晴らしいのだ。

クレジットカードすら使用出来ず、音楽もかかっていない武骨な立ち飲み屋であり、その上、一品の単価が1100円~2500円という強気の価格設定にも関わらず、週末ともなると行列ができる店であった。

緊急事態宣言の前までは。

新型コロナウィルスの影響により、行列のできる人気店と言えども閉店を余儀なくされたが、流石はかねます。5月8日から営業時間の変更がありつつ営業再開となった。

私は基本的には時間が許せばかねますに立ち寄るようにしているが、私はしがない勤め人の為、週末しか時間が取れない。かねますは平日は夕方のみの営業だが、土曜日だけは昼間営業しており、土曜日をめがけて行くようにしている。しかし、いくら私が暇人とは言え毎週土曜日の昼間、何の予定も無いということが意外に無く、月に2回程度の利用頻度だ。

とは言え、行くたびにあれだけカウンターにひしめいていた客は、営業再開後も2人か3人くらいしかいないし、行列も当然ながらなくなってしまっていた。

しかしだ。先日、やっと時間をみつけてかねますに行ってみたら。なんと10人以上の見覚えのある面々がカウンターに並んでいるではないか。

流石、勝どき。流石、かねます。良識のあるお客様が多いなと思った。見覚えのある面々とは、私が一方的に顔を覚えているだけで、話した事も無い為、どういう人たちなのかは知らないが、皆さん総じて静かに食事を楽しまれる品の良い方々だ。

小池百合子の都民へ対するわけのわからない自粛要請など、心からどうでもよいと思う。好きな店で食べたい料理を食べるという日常の方が、私は尊いと思う。

下町のハイボールと言えば天羽、とタモリ倶楽部で言ってました。

タモリ倶楽部2020年8月7日放送回

新型コロナウィルスの陽性者の数なんて大して意味が無いのだから、共存していく指針を示したほうがいいと思う。

毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部はコロナ禍の為、自宅で過ごす事が多くなった現代社会の側面に着目。我らがタモリはアロハシャツに白いパンツ、足元はスニーカーという夏らしいカジュアルな装いで登場。

「家にいる人が増えてきて近所の騒音が気になる人が増えている…」と社会派の切り込みをしたところでハライチの澤部が、リモート収録で芸人達が自宅で大きな声を出し、近隣の方に迷惑をかけ、引っ越しをする羽目になった者もいるという昨今の事例を紹介。

ここに場違いな大声で「イェイイェイイェ~~イ」と入ってきたのはサンシャイン池崎。

澤部に「ちょっと静かにしてください」とたしなめられるも、「タモさ~~ん!初めまして」と言うや否や「空前絶後のサンシャイン ボコボコボコ い~け~ざ~き で~~す!」と短く挨拶。

今回は大声芸人vs防音室。ゲストは司会進行の澤部と大声サンプルとしてサンシャイン池崎。

「うるさいの嫌いだから」「だから、今日は、池崎さんを防音するから」と澤部とタモリに両断される池崎。

アクリルパネルをつかみ、しつこく「タモさ~ん!」と叫ぶも「うるさいって言ってるの!」と澤部。それに続き「お疲れさまでした」と池崎に一礼するタモリ。

ここで騒音によるご近所問題が多発し、防音室の需要が高まっているという渡辺美佐のナレーション。

今回は家庭で使える最高レベルの防音室がスタジオに集結し、芸能界一の大声芸人サンシャイン池崎と対決。防音室で空前絶後の絶叫をシャットアウトすることはできるのか?明日からお家で絶叫し放題!?サンシャイン池崎vs防音室。

2003年10月31日に使用して以来の大きなスタジオ、「テレビ朝日第二スタジオ」にて収録。澤部は大きなスタジオをタモリ倶楽部が借りられることに驚いた様子。タモリ曰く「17年に1度だね」。

池崎が大きく足を開き直立していると、タモリからは「東京タワーの真似してんの?」と流石のツッコミ。

マスクとフェイスガードがあっても大声を出すのに何の支障も無いと豪語する池崎の絶叫を騒音計で測定することに。池崎の近くだと耳が痛いので5m離れた状態で測定。澤部の「お願いします」を合図に「サンシャイン池崎イェ~~イ!」と絶叫する池崎。

一笑いも無いのを見て、「全くウケはしませんけど」と渋い顔の澤部。「何言ってるかわかんないよ」とタモリ。測定結果は90.6デシベル。これは犬の鳴き声と同じだそう。予想よりも大したこと無いという事実に一同笑い。

ここでタモリチャンスが池崎に到来。「犬の鳴き真似って出来る?」とタモリの問いに「もちろんです!」と答える池崎。四つん這いの体勢で「ワンワンワン!」と繰り返すも、澤部が計測器のスイッチを入れておらず計測されておらずガッカリの池崎。

そこへタモリが「犬の鳴き声って『ワンワン』じゃないからね」とタモリが手本を実演。そっちよりで行きますよと再び四つん這いになり改めて犬の鳴き声を出す池崎。

92.1デシベルで、やはり負け犬の遠吠えレベルとナレーションに言われる始末。

距離を確保しつつフェイスガードとマスクを外し防音室と対決する池崎。

最初に登場したのは簡易型の防音室「VERY-Q:ベリーク」。宮地商会の荒川さんによると、表面がフェルト生地で吸音がメインだという。音を吸音し、止めるという構造だそう。図解によると吸音フェルト・多孔質の吸音材・オリジナルの吸音材という構造になっているため、音を吸収し、外に響かないのだとか。楽器や声のレコーディングブースとしてよく使われているそう。

黙って説明を聞く池崎に「こういうとき、すっごい静か」とツッコむ澤部。「邪魔しちゃいけないのかなと思って」と素直な池崎。「タモさんとの間にガードが無くなったからあんま大きな声で喋っちゃ駄目なのかなって」と思いやりのある一面も。

話題は防音室に戻り、「VERY-Q VQP960 Boothset 」カスタム仕様は42万2,840円(税込)だそう。

「ちょっと見てもいいわけ?」とベリークの扉を開き、手を2.3拍叩き、「吸音がスゴイ」と納得するタモリ。スタジオで手を叩いてみせ、「残響があるでしょ。これが全く無い」と力説。

「僕クラスのに人が入ったことはあるんですか?」と何故か上から目線の池崎。「お前クラスって何だ?」と聞き逃さないタモリ。

ベリークに入る前に一叫びのリクエストがあり絶叫するも、タモリには何を言っているのかわからなかったようで、「叫ぶ前に今から何を言うのかを…今は何て言った?…いう前にこれを言いますと言って」と言われる池崎。そこで落ち着いて「僕はだいたい『サンシャイン池崎』とこれから言うと認識しておいてください」と説明。

「入るときに『サンシャ・IN』って言います」と言いつつ防音室に。

実際にベリークの中に入って絶叫すると無音にはならないものの、90.9デシベルから66.4デシベルに。荒川さん曰く無音にはならないが、家の外や隣の部屋に音が聞こえることは無いのだそう。「防音室に入ったこれくらいの音量の方が逆に面白い」と澤部の談。

池崎が防音室の中で叫び終え、「寂しい、シンプルに」と話す。

タモリに「自分の声が響かないから、意外とちっちゃいって思わない?」の問いに「めちゃくちゃ思いました。全然広がらない感じは確かにあります。なんか、スッて行く。吸い込まれていく感じはめちゃくちゃしました」と体感を説明。

次は防音っぷりをよりわかりやすくするため、池崎のシャウトの最中に防音室の扉を開閉してみることに。

今度は入るときにタモリに「サンシャ」と振られると何も答えないという駄目な池崎に業を煮やして「タモさんが言ってくれてるんだから反応しろよ!」澤部の檄が飛ぶ。「タモさんのおっきい声聞いたこと無いから、びっくりしちゃいまいした」と言い訳する池崎。「チャンス逃したな!」と澤部。

改めて防音室の中に入ろうとするとき、扉を開閉するスタッフに「ドアごと吹っ飛びますよ、気を付けてください」と池崎。ベリークの中でシャウト中、扉の開閉の度に声が大きくなったり小さくなったりし、これだと面白いと一同爆笑。

続いては白色が眩しい窓付きの防音室、ヤマハ「アビテックス」。解説はヤマハの大山さん。主な材質は木製。

「調音パネル」というパーツが入っており、様々な高さに仕切られた溝が音の響きを整えるのだそう。音楽ホールをイメージすると、壁に凹凸があるが、それは凹凸の空間で音を整えるためにあるものだとか。タモリもここで「部屋の壁がデコボコしているほうが、残響が増えるんだよな」と豆知識を披露。スタジオの登場したのは「ヤマハ アビテックス セフィーネNS AMDC15C(Dr-40)143万円税込み)」。ベリークに比べて高額な為、一同驚くが、サイズも先ほどのベリークよりも一回り大きめということもあり即座に納得。

ここで池崎が「手強そうなのでちょっと本気出しますね」と左右の手首にはめていたリストバンドを擬音を交えながら外し、床に落としながら「2ト~~ン」と絶叫。タモリに「今、2個って言ったの?」と問われるも「2トンって言いました。わざわざ数は言わないです。重さです。見たらわかるんだから」と説明するも、澤部が「2個の方が面白い」とネタに駄目出し。

アビテックスの中に入り絶叫すると、測定結果はなんと57.6デシベルに。

叫び終え、アビテックスから出てきた疲れ気味の池崎に「お疲れさまでした」とねぎらうタモリと澤部。アビテックスの感想は、入った途端、外の音が聞こえなくなるが、ベリークと比べて音の響きがあるので、気持ちよく叫べるそう。

アビテックスではピアノ曲「エリーゼのために」と絶叫デュエットをすることに。

ここで大学時代にジャズサークルに入っていたことを明かす池崎。サックスを担当していたため、肺活量もあったと話すも、何故かここで「肺活量もありますにん」と噛み、ひといじり。

再びアビテックスの中に入り、扉の開閉をスタッフが行う。扉を長めに開けられると間が持たない池崎に笑う一同。

叫び終え、疲れが隠せない池崎に「サックスやってたの?」と興味を示すタモリ。「テナーサックスやってました。イェ~イってやってました」とよくわからないボケをする池崎。

最後に登場したのは「一人静:ひとりしずか」。解説は株式会社静科の社長・高橋さん。カットサンプルを持参。表面はアルミの繊維、中に入っているの発砲樹脂だそう。音を熱エネルギーに変換して音が小さくなるという。不燃材で屋内外で使えるため、工場の防音壁に使われ、自動車の中、ヘリコプターで使用することあるそう。

音がどのくらい小さくなるのかを事前に見るため、一人静のミニチュア版を披露。大音量の目覚まし時計を鳴らし、ミニチュアに入れてみると音が小さくなり、蓋を閉めると更に小さくなった。

それに一同、「おお」と歓声。池崎は拍手。高橋さんがパフォーマンスを繰り返すも、ミニチュア版に目覚まし時計を入れると音が鳴りやむ。にもかかわらず蓋をする高橋さんに「捏造」とツッコむ澤部。

今回の商品はパネルを二重にしている仕様ということもあり、「SHIZUKA Stillness Panel220万円(税込)」とやや高額に。

タモリは触って素材を確かめる。「めちゃくちゃドッキリが起きそうな更衣室みたい」とは澤部談。見た目はそうだ、と同意する一同。

池崎は扉を開け、一歩踏み込むも早速「手強そうだ」と一言。

測定結果は54.8デシベル。

出てきた池崎に感想を求めると、「本当に独りぼっちという感じがします」とのこと。タモリに「反響は?」と聞かれると「全くない。独りぼっち、本当にそんな感じです。むなしくなりますね、ちょっと。」

「壁の材質からみると反響はありそうだけど、無いんですね」というタモリに「幅広く吸うので反響音はほぼほぼ無い」と高橋社長。

今回の仕様は音楽向けの仕様となっており、池崎はタンバリンを叩きながら絶叫することに。

スタッフが扉を開閉すると音が消える一人静に「スゴイ」と一同。

3つ目の防音室対決により疲労困憊の池崎はゼイゼイ言いながら自分で開けて終わらせる池崎。「僕がイメージしてたタモリ倶楽部と違ってました」と言うだけでも噛んでしまう、初めてのタモリ倶楽部出演の池崎の言葉で番組は終了となった。

Amazonで販売中の防音室は段ボール製でお手頃価格。

タモリ倶楽部2020年7月31日放送回

ラッパーのカニエ・ウエストがアメリカ大統領選に出馬するらしく、先日、演説を行った。

そんな中、毎度お馴染み流浪の番組・タモリ倶楽部では農林水産省Youtuberに着目。

政府が奨励するStay Homeの影響により、タレントがこぞってYoutubeを始めたと説明するタモリに割って入る三四郎の二人。

登場した途端、小宮の滑舌の悪さをイジりつつ、相田のYoutubeチャンネル「じゅーじまんチャンネル」に触れてくる優しいタモリ。

相田は自分のチャンネルの説明もそこそこに企業や政府の官公庁もYoutubeを始め、中でもかなりユルめの動画制作をしている省庁があると言ったところで、岸が「それが農林水産省です」と言いつつ登場。

ゲストは三四郎の小宮浩信と相田周二、元経済産業省の官僚、岸博幸。相田は今回、司会進行だ。

タモリ倶楽部らしくないゲストの岸に対し、タモリが「ここだけ番組違うんじゃないの?」とツッコみ。小宮も「いつもと格好が違う」と乗せ、「普段はこんな感じなんです」と説明するも、相田も「この番組は普段着でいいという認識なんですね」と被せてくる。

本題である若手官僚自らがYoutuberをしている農林水産省のユルいYoutubeチャンネルを検証することに。

4人はソーシャルディスタンスを保って着席し、相田がタモリにYoutubeを見ることなどあるのかと聞くと、「船の着岸・離岸をね…」と話したところで一同笑い。

岸に農林水産省のイメージを確認すると、イケてない役所であり、理由として保守的、改革に前向きではない、比較的ダサいとのネガティブな回答。それを聞いた小宮がこれからその農林水産省が登場するが大丈夫なのか、と批判的な岸を心配する。

続いてリモートで登場する農林水産省職員たち。霞が関から5名、熊本から1名の計6名がリモート画面に映し出される。

小宮が先ほどの岸の意見について尋ねるも、6人共何も言わない農水省。微妙な間に「番組ですからテンション上げていきましょうね」と覇気の無い小宮に諭される始末。

早速、農水省のYoutubeチャンネル「BUZZ MAFF(バズマフ)」を鑑賞。MAFFとは農水省の英略語。

農水省BUZZ MAFF広報担当、松本さんの話によると2020年7月現在で175本の動画がアップされているそうだ。全国の農水省職員に公募を行い、東京(本省・霞が関)6、地方農政局9の全15チームで動画を作成しているそう。

官僚というのは世間からの批判を嫌うので、官僚自ら動画を作っていることに評価ができ、農水省がよい方向に変わっているのではと岸は好印象。

実際の動画を見るにあたり相田がタモリに「これは面白い、面白くないっていうんじゃないですから。官僚がどんなユルい動画を世間にばら撒いているかっていう、そこが見どころです」と釘を刺す。

まずは農林水産省生産局技術普及課のパンダさんによる「大人のピクニック」動画から。

パンダの頭にスーツ姿の女性が公園のベンチで一人、ご当地の飲食物をただただ食べるというもの。テロップには製品の説明が入っている。

動画を撮ったきっかけは、仕事帰りの日課を企画書に書いたら通ってしまい制作することなったそう。相田に「結構簡単に通るものなんですね」と感想を述べると、パンダさんも「私もそう思いました」と回答もユルめで好感が持てる。

更に相田が「なんでパンダを被っているんですか」と素朴な疑問にも「夫にバレたくなくてパンダに」と回答。結婚していることに驚く一同。ご主人は妻の頑張っているところを見たく無いそうで、この動画も見せていないと語ると、「頑張ってはいないと思うけど…」と核心をつく流石のタモリ。

このユルさで上司のNGが出ていないのが、ある意味素晴らしいと岸。

地方の特産物を食べる、というコンセプトを守り、計8本が上げられているそう。

2本目の動画は九州農政局地方参事官室の白石さんと大臣官房国際部国際地域課の野田さんの二人によるチャンネル「タガヤセキュウシュウ」が九州の農業を全力で紹介してみた、というもの。

冒頭で冬のボーナスの使い道がクワガタであったことを語る白石さんと、逆上がりができないまま大人になってしまったと語る野田さん。面白い事を言おうとし、お調子者を装う白石さんと自虐風だけどそれ以外に自虐することが無いんだろうな、というよい人生を送ってそうな野田さんが印象的だ。

この動画では熊本県八代市のい草農家を訪問した様子が収められている。作業着と長靴を着用し、い草の植えられた水田に入り、ぬかるみの中で動けなくなる野田さん。次はい草農家五代目の下永さんにインタビュー。畳からする香りがよかったと下永さんに伝えるも、普段から匂いを嗅ぎ過ぎており、もう何の香りかわからないと身も蓋も無い回答が素晴らしい。

動画を撮ったきっかけは、白石さんが以前から野田さんを面白い人だと思っており、カメラマンとして誘ったことから始まったそう。九州の農業を応援する動画を4月から17本もアップしているそう。

何故、Youtubeに動画を上げるようになったのかと広報部に尋ねると、農水省が届けたい情報が届いていないという悩みがあり、昨秋就任した江藤農水大臣から「今流行っているYoutuberやってみたら?」という指示がきっかけとなったそう。

岸さんによると役所の世界では大臣の意見は絶対で、全面的に服従する為、このようになったのでは、とのこと。

ここでBUZZ MAFF再生回数トップ3を紹介することに。

第三位は約2万5千回再生動画。大臣官房広報評価課広報室、梅村さんによる日本茶チャンネル。農水省の1階にある茶室でお茶を点てるというもの。

流派不明の点前で着物を着た男性職員がスーツを着た帰宅前の職員に振舞っていた。流派くらいは明記して頂きたい。三四郎の二人からは「お洒落」「今時っぽい」と好評であった。

第二位は約11万回再生。技術会議事務局研究調整課、松岡さんが故郷・宮崎弁で江藤大臣の政策にアフレコしてみたもの。

第一位は約74万回再生のタガセヤキュウシュウの花の販促動画。花の紹介をするたびにテーブルに花が増え、花に埋もれる二人。

ここで第三位の着物姿の梅村さんが官僚系Youtuberのよくある傾向を発表。「正しい日本語(公用文)かどうかが気になる」そうで、常用漢字じゃない漢字を間違って使ってないかが気になるそう。岸さんによると、役人は文章を作るのが仕事なので言葉に正確性を求められる教育をされるそう。

梅村さんは過去に「もうじ」を紹介した時のエピソードを披露。動画では「もうじ」を漢字で明記したが、「じ」が常用漢字では無いとか。ちなみにもうじとは、植物の表面に生えている毛みたいなもので、お茶をいれた時に時に表面に浮かんでいるホコリのようなものが「もうじ」だそう。

これら自由すぎる動画が出来た理由を広報部に尋ねると、他の省庁は外注して制作するところ、農水省は外部スタッフを入れず、職員自らが企画・演出・撮影・編集を行っている為とのこと。また、全ての動画は中間管理職の決済をすっ飛ばし、ハンコ無しで制作している為、このようなユルさになったそう。

ここから再度、農水省Youtuberに戻り、農村振興部鳥獣対策・農村環境課、吉村さんが参加する動画を鑑賞。農業遺産で太鼓たたき隊であるが、再生回数が少ないのが悩みのようで、タガヤセキュウシュウの野田さんに教えを乞う場面も。

吉村さんにも官僚系Youtuberの傾向について尋ねると「何にでもエビデンス(根拠)を求めがち」と回答。流石はタモリ「それはね、『エビデンス』って言葉を使いたいだけなの」と小池百合子に聞かせたい一言がキラリと光る。岸によると、外部から問い合わせがあった場合に説明できるように常に根拠を準備している為だそう。

今回はここで放送は空耳の募集をし、次回予告をして終わりとなった。