素人落語会

落語家が教える落語教室

都内にはプロの落語家が落語を教えている教室がいくつもあります。先日は桂文雀師匠が教えている落語教室の発表会が行われました。

木戸銭は無料!

入場料である木戸銭は無料で両国亭で開催されました。両国亭は円楽一門会の寄席が主に行われています。

素人ながらも満席に

一人持ち時間15分で高座に上がり、女性の生徒さんも数多く高座に上がっていました。一時はお客様が沢山お見えになり、満席となる一幕もありました。

演目がかぶることも…

通常の寄席では別の落語家が同じ演目を寄席で行うのはご法度ですが、生徒の数が多く、演目がかぶることもありましたが、そこは素人ですのでご愛嬌。

トリは文雀師匠

落語教室の生徒さんの発表会ですので、色物が挟まれず、長丁場でしたが、最後のトリは文雀師匠が高座に上がられ、盛り上げてくれました。この日の演目は「ぞろぞろ」でした。

無料の素人寄席は週末の昼間

両国亭では週末の昼間によく無料の素人寄席が開催されているので、是非、足を運んでみてください。

落語家の階級

階級制度

落語家には階級があり、寄席で一番最後のトリを務めるというような場合は、相応の実力が必要となります。漫画の主人公、島耕作が課長から会長に昇進した程は多くありませんが、落語家も呼び名も変わります。下から

・前座(ぜんざ)

・二ツ目(ふたつめ)

・真打ち(しんうち)

となっています。

前座

演目が終わり、落語家が高座を降りた後に、めくり(落語家の名前が書かれた紙)をめくったり、座布団を裏返したりといった雑用をしたり、開口一番(かいこういちばん:その日の高座の最初の落語)をすることもあります。

二ツ目

前座を経た後、二ツ目となります。前座は羽織を着るのは許されませんが、二ツ目からは羽織を着て高座に上がることが許されています。前座がする雑用もしなくてよくなります。開口一番の次に高座に上がる、つまり2番目に上がることから「二ツ目」と呼ばれるようになったようです。

真打ち

「師匠」と呼ばれ、弟子を取ったり、お声が掛れば、落語会や寄席のトリを務めることが出来るようにもなります。

真打ちの由来

真打と呼ばれるようになった理由は諸説あるそうですが、その昔、江戸・明治時代の寄席では最後の出演者が寄席の照明であるロウソクを消さなければならず、ロウソクの芯を打っていた(=火を消していた)ことから、「芯打ち」となり、字を変えた「真打ち」となった、とも言われているそうです。

落語の種類

古典落語とは

落語と言えば、設定が長屋の住民、お侍が登場します。このような設定の落語は古典落語が多く、江戸時代~大正時代に作られた落語を一般的に古典落語と呼んでいます。

新作落語もある

対して、現代の設定の落語は「新作落語」や「創作落語」と呼びます。

寄席の演目

寄席では同じ演目を違う落語家が演じることはご法度となっているので、出演者は全員、異なる演目を演じます。

マクラ

落語の演目が始まる前に落語家が高座でするおしゃべりを「マクラ」と言います。落語を演じずに、マクラだけで高座を降りる落語家もいます。柳家小三治師匠は実際に演目が始まるまでのマクラが非常に面白く、その面白さはYoutubeでもご覧いただけます。

新宿末廣亭に行ってみた

新宿末廣亭ってどこ?

末廣亭は新宿の末広通りと呼ばれる飲食店が立ち並ぶところにあります。東京メトロ丸の内線と副都心線の「新宿三丁目」の駅、C3出口から左に曲がるとあります。

寄席の入り方

入口に「入場券売場」とあるので、こちらでチケットを購入します。ちなみに、寄席ではお代金のことを「木戸銭(きどせん)」と呼びます。

席は自由席

場内は高座と呼ばれるステージがあり、高座正面に椅子席が117席、左右の端と2階は桟敷席(さじきせき)があり、桟敷席は畳の上に座布団が置かれているので、靴を脱いで上がります。また、場内には係の人がいるので、桟敷席が空いていれば、案内してくれます。

昼の部

昼の部と夜の部の2部制で、昼の部は12:00~16:30で、途中に中入り(なかいり)という、休憩時間が15分程あります。その間にお手洗いへ行ったり、喫煙室で喫煙したり、売店で軽食を買ったりして過ごします。場内での飲食はアルコールでなければOKとなっています。

夜の部

夜の部は17:00~21:00となっています。先日行った時は人間国宝・柳家小三治(やなぎやこさんじ)師匠が高座に上がられる日ということもあってか、満席でした。

1月15日の出演者

・柳亭市楽(りゅうていいちらく/落語)

・笑組(えぐみ/漫才・南京玉すだれ)

・桃月庵白酒(とうげつあんはくしゅ/落語)

・初音家左橋(はつねやさきょう/落語)

・林家しん平(はやしやしんぺい/落語)

・江戸家子猫(えどやこねこ/物まね)

・柳家喬太郎(やなぎやきょうたろう/落語)

・柳家小袁治(やなぎやこえんじ/落語)

・すず風 にゃん小・金魚(すずかぜ にゃんこ・きんぎょ/漫才)

・柳家権太楼(やなぎやごんたろう/落語)

・柳家小満ん(やなぎやこまん/落語)

中入り

・寿獅子(獅子舞)

・柳家小三治(やなぎやこさんじ/落語)

・桂南喬(かつらなんきょう/落語)

・春風亭一朝(しゅんぷうていいっちょう/落語)

・柳家さん喬(なやぎやさんきょう/落語)

・林家正楽(はやしやしょうらく/紙切り)

・柳亭市馬(りゅうていいちば/落語)

落語ばかりではない

上記の出演順を見てわかるように、落語の合間に漫才やものまねが入っています。4時間も落語ばかり聞いていると疲れてしまうので、緩急をつける意味で色物(いろもの)と呼ばれる漫才やものまねが入ります。一月は正月興行ということもあり、獅子舞もありました。皆さまも是非一度、寄席で名人芸をご堪能ください。

落語って何?

笑点と落語

落語が好き、というとテレビ番組の「笑点」ね、と言われることがあります。笑点は落語家が出てきて大喜利をしていますが、落語を演じているわけではありません。落語とは舞台(=高座)の上で落語家が演目(=落語)を演じることを言います。

どこで見れるの?

都内だと、落語をはじめとする、講談や漫才を演芸場の寄席で観る事ができます。

・新宿末廣亭

・浅草演芸ホール

・池袋演芸場

・国立演芸場

・鈴本演芸場

・お江戸日本橋亭

・両国亭

・黒門亭

・神田連雀亭 etc…

他にも落語を聴きながらお食事ができるお店「小料理屋 やきもち」があります。

誰の高座を聞けばよいのかわからない

ダイヤモンド・オンラインの記事(2016年)によると、800人の落語家がいるそうです。テレビに出るような有名な落語家は数名くらいしかいませんね。高座に上がるような落語家は何年も修行を積んでいます。寄席では多くの落語家が登場するので、知らない落語家の高座や演目でもはやり面白く聞けるようになっています。

行くタイミングがわからない

演芸場にもよるのですが、昼の部・夜の部で分かれていたり、夜のみだったりします。基本的には毎日寄席は開催されています。各演芸場にホームページがあるので、そちらで確認できます。基本的には演目と演目の間に入場できるようになっています。

無料の素人落語会

都内ですと素人落語会が両国亭などで開催されています。素人ですので、無料で開催されているので試しに足を運ばれては如何でしょうか。

浅草演芸ホール

 昨年に引き続き、2020年の初笑いを浅草演芸ホールで済ませた。正月は顔見世興行ということもあり、演目をじっくりと聴くことは出来なかったが、各出演者の持ち時間10分に満たない中、古典落語の一節のみをかいつまんで、短い中で笑いを取る噺家の姿は大変勉強になるところがあった。午前9時から始まる一部から四部まであり、私は4時からの三部の最後、昭和こいる師匠から入場した。

 本来であれば昭和のいる・こいる師匠とのコンビであるが、ご病気とのことでピンでの登場であるが、のっけから、「元旦から天気がよくてねぇ、でもね、さっきね、雨がぽつぽつとね…」と話し出すと会場がどよめいた。さっきまで本当に快晴だったからだ。即座に「あぁ、嘘なんですけどね」と言って笑いをさらっていった。予想だにしないバカバカしさに思わず笑ってしまうのは、ベテランの成せる技といったところか。その後は芸とも言えない芸を林家ペーから見せられるという謎の時間があったり、主任の器では無いにも関わらず、林家三平の息子というだけで主任となっているであろう林家正蔵の去年と全く同じネタの枕と大して面白くも無い「竜馬が行く」を題材とした彼のオリジナル演目を押し付けられるという苦行があったものの、人気落語家、春風亭一之輔による団子のくだりのみの「初天神」は短いながらも大変面白かった。見せ方の上手さとは大切だ。

 今回、私は柳家小三治師匠が高座に上がる第四部を楽しみに来た。何しろ去年の小三治師匠の面白さに大層感銘を受けたからだった。しかし、今回は違った。客席からの「待ってました」の掛け声も空しく全然知らないお歌を歌ってお帰りになられただけで終わってしまった。大変残念ではあるが、仕方ない。師匠ももう80歳だ。近いうちに真骨頂を拝聴したく、末廣亭あたりに行こうと思う。今回は、人気があるのは知っていたが、実際に聴くのは初めての師匠方も何人かいらして、人気噺家である柳家喬太郎師匠を拝聴できたのは収穫であった。次は是非、古典落語で高座に上がったところを拝聴しようと思った。第四部の主任を務める程の実力、柳家さん喬師匠による「天狗裁き」は正月らしい初夢について枕とされ演目へ入り、三部とは違って流石の一言であった。