タモリ倶楽部2020年7月17日放送回

先週からみうらじゅんやら蛭子能収の事を考えていたら、「ガロ」の正統後継漫画誌「アックス」の表紙原画展がビリケン・ギャラリーにて開催されていることを知った。

更に「ガロ作家」である根本敬も参加しているエキシビジョン「バーストジェネレーション・死とSEX」にも訪れ、我ながらサブカルな週末であった。

特に我が国屈指のお洒落エリア・南青山にあるビリケン・ギャラリーで開催された「アックス表紙原画展」では展示した原画をその場で販売しており、その多くが既に売却済みとなっていた。

みうらじゅんと根本敬に次々とお題を与え、即興で既存のキャラクターを描いた、という結構な量のイラストもクリアファイルにまとめて展示されており、流石の実力に感嘆した。

毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部では、先週に引き続きみうらじゅんによる「ないブームとはもう言わせない!みうらじゅんの『絶対くるブーム』後編(リブート)」。今週もゲストは司会進行のカズレーザーとリモートでプレゼンを行うみうらじゅん。

カズレーザーの失言「ゴミ」に対する抗議から番組はスタート。

後編の一発目は地図に描かれた道路の端が丸くなっているものを「マルチーズ」と呼んでおり、収集しているという。みうらが説明を終えた途端、次に行きたがるタモリであったが、一応話を聞くことに。

みうらによると、歯医者の地図にはマルチーズが多く、水商売のホステスが使う角が無い名刺を思い起こさせるそう。長方形の名刺の角を丸くしているのは、「角が立たない=思いやり」から来ているそうで、その思いやりを地図に取り入れた結果、子どもが怖くないように道路の先端が丸くなったのではとの推論を披露。しかし、「子どもは地図見ながら歯医者には行かないでしょ」とツッコむタモリ。

地図の形状についても、漢字「米」のような放射状の地図、「井」のように交差する形状の地図、また「エレクト目(もく)」については、必ず目的地には「ココ」という記載があるという。ソフトな下ネタに一同、口が緩む。

次の「絶対くるブーム」は台湾を代表する博物館「故宮博物院」の所蔵品・肉型石、通称「角煮」のグッズを収集しているという。以前、台湾を訪れた際、翡翠(ひすい)の彫刻、通称・白菜が貸し出されてしまい、角煮のみが故宮博物院に展示されており、ソロで大丈夫か?と心配になったそう。それ以来、台湾国内で角煮のグッズを集めることにしたそう。意外と多い角煮グッズは、スノードーム、冷マから果てはレゴまでがあり、台湾にはどうか角煮を流行らせようとした電通のような人がいたのでは?と推測。

ここでカズレーザーが昨今のトレンドであるミニマリストとは真逆ではないかと投げかけるも、「資料ですから、捨てるとかそういう範囲には入って無いんです」と潔く答えるみうら。

早々に飽きたタモリが「次にいきましょうか」と促すと「現場にいればタモリさんが飽きたのはすぐわかるんですが、(リモートだと)わからないので、すみません」と平謝り。

7番目の絶対くるブームは「拓映えブーム」。石碑や金属の文字を写し取ってインスタグラムのように映えさせるというブーム。なんと、みうらじゅんの亡くなった祖父が拓本の著書を出版したのだが、上巻・中巻まで出したものの、下巻を出さないまま亡くなり、いつかそれを引き継ごうと思っていたそう。

製作方法であるが、拓本したい文字の上に紙を置き、「釣鐘墨(つりがねずみ)」なる墨で擦れば簡単に拓本が取れるというものを紹介。みうらもこれを使い拓本しているという。

いくつかの作品の中から「わたしのみうらじゅん」と書かれた拓本を披露。これを「集め拓」と呼び、色々な場所からこれらの文字のみを収集して拓本したそう。

映像ではなく、拓本という一手間をかけた方が味が出るそうで、シンスの拓本も披露。御朱印、日本刀ブームが来ている中、拓本はその先を行っており、面白いのではと好感触のタモリ。

カズレーザーもそれに乗っかり「拓本で番組一本イケますね」。

それを聞き逃さないのが我らがみうらじゅん。「これはプレゼン会議じゃないですよね、放送しますよね、映りますよね」と心配するみうら。

8番目の絶対くるブームはゴム製のワニを集めた「ワニック ブーム」。

「以前、ゴムヘビを集めたブームがあると嘘をついたことあったじゃないですか」と以前のブームが捏造であったことを大胆に白状するみうらに一同苦笑い。

今回のワニについてもヘビが関係しており、祭りの露店でゴムヘビとゴムワニは必ずペアで売られているという。

蛇は神の使いという意味があり、ワニはインドのガンガー(ガンジス川を神格化した女神)の乗り物、クンビーラだったそう。ワニはガンジス川の化身と言われ、クンビーラが日本では金毘羅と呼ばれるようになったという。水回りの神様がワニであることからお祭りの時に神社の参道で売られるようになったそう。

しかし、世間的にはワニブームは何度か失敗しており、1980年に製作された映画「アリゲーター」は同年の作品「ジョーズ」の大ヒットにより無かったことになり、1986年に制作された「クロコダイル・ダンディー」では「ダンディー」に持って行かれてしまったそう。

その上、今、日本でワニが手に入るところはラコステと熱川バナナワニ園くらいしか無いと嘆くみうら。

カズレーザーが「100日後に死ぬワニ」はどうだと提案するも、方向性が違うそうで即却下。

2週続けて計8本の「絶対くるブーム」を紹介し、タモリがいいと思ったのは「拓本」。ここで番組の総括として「『絶対くる』って言って『来ないだろう』って笑っているのはタモリ倶楽部側ですからね。僕はもう来てるので」とみうら。

最後にタモリも「じゃあ、これは処分で・・・」と嬉しそうに言うと、早速「まだ収録終わってませんから、聞こえてますよ!」とツッコむみうら。追い打ちをかけるように「ゴミの日は火曜日ってことはわかってるので」とカズレーザー。ここで番組はエンディングを迎えた。

こちらも名著!みうらじゅんの思想が詰まった「正しい保健体育」。
教科書と見まごうばかりの装丁にもセンスが光る。中二病のバイブルです。

タモリ倶楽部2020年7月10日放送回

毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部。今回もコロナ余波によりロケが出来ない為か、スタジオ収録となった。日本最高峰のエンタティナ―・タモリの体調を考えると、リスクは少ないに越したことはないが、いつもの寸劇が路上で行われないのは寂しいものがある。

今回のタモリ倶楽部ではお馴染みのみうらじゅん、司会進行役としてメイプル超合金のカズレーザーがゲスト。

ストライプのシャツを着用し初夏にふさわしく爽やかな装いのタモリがステイホームの影響で家庭でパンを作るのがブームと解説するところへカズレーザーが登場。テレビ朝日宛にみうらから大量の荷物が送りつけられたと不満顔。

後ろのテレビモニターにはリモート出演中のみうらと白マスクと白ドレスを着用したラブドールが映し出された。白髪交じりの髭が伸びたみうらにカズレーザーが「晩年のジョン・レノンじゃないですよね」と緩めのツッコミ。ナレーションの「日本で最も不要不急の男」という言い得た称号に、私は大きく頷いた。

何故か「インドで修行中」と言い張るみうらにタモリが「インドに後ろの人形なんているわけない」と振ると「僕の秘書で、ちゃんとソーシャルディスタンスを守って、マスクも着けて、密は避けてます」と回答。背後の黒いソファは形状からイタリア製カッシーナのものと推測される。流石は一人電通。こういうところに電通臭が漂う。

タモリが何を送ったのかと改めて聞くと、4年前の企画「無いブーム」で、絶対にこのブームは来ないだろうと上から目線で呼びつけられたのが発端だと言う。オリンピック同様、4年経ったので新たな企画として送ったのだそう。

今回は、ブームとして来るか来ないかはタモリ倶楽部で判断して欲しいという。マイブームをはじめ数々のブームを生み出してきたが、その陰にある、箸にも棒にもかからないコレクションを取り上げたのが2016年放送の「ナイブーム」。

本人曰く「ブームはそこまで来ている」のだとか。今回の企画は「ナイブームとはもう言わせない!みうらじゅんの『絶対くるブーム』」。

テロップには「秘書の絵梨花さんも同席」とある。絵梨花という名前のラブドールにつけるあたりが無駄に芸が細かく、みうらじゅんらしい。

貴重品だそうで、白手袋を着用し最初の箱を開くタモリ。中に入っていたのはみうらじゅんファンにはお馴染みの冷蔵庫に貼るマグネット、通称「冷マ ブーム」。

冷蔵庫につけるマグネット仕様の販促アイテム「冷マ」を収集するブーム。みうらは1,996枚所有しているそう。素朴な疑問としてタモリがどうやって集めたのかを問うと、不要な冷マを募集をしたとのこと。

「冷マ四天王」とみうらが呼ぶのは「森末慎二」「ダンディ坂野」「柴田理恵・松村邦洋」「舞の海」。彼らは冷マタレントだそうだ。ダンディ坂野に至っては20ポーズもの冷マが作られているという。また、冷マタレントは冷マタレントということを前面に打ち出していないそう。

タモリがみうらの冷マを見つけると、冷マの製造元からみうらが60歳の時に直接声が掛り、作ることにしたと経緯を説明。みうらの冷マは彼の還暦を記念して作られたことがわかるように作製し、何を計るのかわからないが定規機能も追加しており、上部にメモリが印刷されているところが気に入っているそう。

もうそろそろブームは来ているはずだからカードショップで高額で取引されてもいい頃、と本人談であるが、カズレーザーはトレーディングカード購入のため、カードショップに行くが、まだ見た事が無いそう。

そこへ冷蔵庫4台に冷マがびっしりと貼られた姿を映したパネルが登場。みうらの解説「これだけでニューヨーク近代美術館のにおいがしますよね。完全にアートです」に対し、カズレーザーも「かっこいい!」と唸る一面も。とはいえ、ブームとして来るか来ないかとなるとタモリは「ちょっと…いや、こないだろうな」とまともな判断。

次の荷物を開封する前に、前回の「ナイブーム」のおさらい。

「カニパン」「シンス」「男キッス」「地獄表」「AMA」「テープカッター」「しびん」「バッグオブエイジーズ」の文字が並んだボードを持ち、進展があったか質問するカズレーザー。

カニパン(冬、主に関西地方の旅行代理店の店頭を赤く染めるカニツアーのパンフレットを集めるブーム)はあった、と断言するみうら。これまでは関西でしか見られなかったが、この企画の年には東京のJR駅構内でもカニパンが見られ、デザインも刷新されたという。

操業年を表すSince=シンスに注目するブームについては、タモリからシンスの写真がみうら宛に送られたそう。経緯としては個人宅の表札の上にシンスがあり、珍しさのあまりカメラに収めたそう。近年ではSince2020やSince20XX等も出回っているそうだ。進展があったのはこの2つのみ。

次のコレクションは一見掛け軸に見える、チープさ満載のタイの土産物屋「タイの軸=タイ軸ブーム」。

タイの土産物屋で売れ残っているものをみうらが購入しているそう。遠近法無視のラッセン風のデザイン「タイラッセン」をはじめ「3頭の象」「ムエタイ選手」「4頭の馬」を紹介。いずれも何故か黒い背景。床の間に飾るのであれば譲るというみうらが申し出るも「いらないですね」とあっさり拒否するタモリ。

次は打ち出の小鎚=ウッチーブームで収集した打ち出の小鎚が登場。

小鎚は大黒天が持っているが、初期の大黒天は小鎚を持っておらず、大黒天は日本にやってくる前、インドではシヴァ王の化身、マハーカーラとされているそうだ。シヴァ王のリンガ(男根を型どったシンボル)として大黒天は小鎚を持っているのではないかという仮説を披露。みうらは小鎚の事を考えるあまり、ヘアドライヤーを小鎚と間違える始末であったそう。中でもダイソン製については小鎚にインスパイアされて作ったと力説。

最後のブームは「ワッフルブーム」。道路脇の斜面などのがけ崩れを防ぐ「ワッフル」に注目するブームだそう。運転免許を持ってないみうらにとっては一期一会のブームだとか。実際のベルギーワッフル画像とみうらのワッフルコレクションを並べ、「どちらがワッフルか一見わからない」と小ボケのカズレーザー。

正式名称に疑問を持つカズレーザーはこの工事を主に取り扱う堀本興業の社長に電話インタビュー。業界では通称「法枠工(のりわくこう)」斜面=法面(のりめん)に枠を付けていく工事だそう。強引に社長からワッフル好きと引き出そうとするみうらに全乗っかりするやさしい堀本社長。業界的には専門的な工事となり行う業者は限られるそう。

カズレーザーが「撮れ高は十分なので終わりにしたいと。…燃えるゴミの日が近いので」とまとめようとすると「タモリ倶楽部がこういう事を追えないで燃えるゴミなんて言うなんて、世も末ですよ」と珍しく至極全うなコメント。という訳で次週に後半戦として続くことに。

みうらじゅんは他人から共感されないというパラドックスを楽しんであらゆるモノを収集、研究、発表している。(と思う) そこをやんわりとたしなめる役割は旧知の仲のタモリが担えばよく、カズレーザーの雑な否定は蛇足だったと思う。

本放送でも空耳アワーは放送されず。ソラミミストの安否が気になるところだ。

みうらじゅん原作・田口トモロヲ監督作品。青春のモヤモヤと悶々が本当によかったです。

タモリ倶楽部 2020年6月19日放送回

日本が世界に誇れる番組といえば、テレビ朝日の長寿番組タモリ倶楽部だろう。

5月2日からは女性ナレーター渡辺美佐の声となった。長年親しんでいた武田広のナレーションから増谷康紀に変わった時は違和感があったが、この変更は成功と言えるのでは無いだろうか。

そんなタモリ倶楽部であるが、先週に引き続きコロナ禍の影響によりロケが出来なかった為か、過去の放送を振り返る回となった。

今回のテーマは「振り返れば誰もいない ぶっちぎり!!孤高のマニア列伝」。

トップバッターは2013年6月28日放送、「空想地図マニア」の登場。

7歳の頃から地図を空想で描き始め、小学校5年生の頃には架空の都市、中村市(なごむるし)の地図の作成を開始した男性が登場する。

街には新幹線が通っており、新幹線も停車する人口156万人の都市だそうだ。これにタモリも即座に反応し「福岡市と同じくらいだね」とのこと。テロップには「福岡市人口約160万人(2020年5月現在)」と放送当時にはなかったであろう豆知識が追加された。

中村市にはこれまた架空の都道府県「京南府:けいなんふ」にあり、地図上には府庁舎があることから、府庁所在地であるようだ。

完成度の高い地図には架空のコンビニ・スーパーのロゴも数多く配置されており、マニアのこだわりに一同感嘆。

架空の都市で起こった架空の政治的背景も地図の中に見え隠れしており、中でも当初建設予定であった新幹線の駅は紆余曲折の上、京南府庁舎の近くに建設されることになったそうだ。

この回のゲストは伊集院光、後藤まり子、ドランクドラゴンの塚地武雅。

次に登場するのは2015年6月26日放送、「古文房具マニア」。

生産中止や絶滅寸前の古い文房具を骨董市やオークションなどで買い集めるマニアの登場。

明治時代にアメリカから輸入された珍しいホチキスを紹介し、そのホチキスで紙を綴る機能を確認。

古文房具マニアが最も力を入れているのが古い消しゴムで、放送時点で3000点程収集していたそうだ。この回ではその中でもマニア選りすぐりの消しゴムが紹介され、ヒノデワシなる国産メーカーの消しゴムや100年以上前のヨーロッパの消しゴムコレクションを披露。

ゲストは今、旬な人・アンジャッシュの児嶋一哉、大宮エリー、渡辺祐。

タモリ倶楽部の準レギュラーとも言えるみうらじゅんが登場し、残念なコレクションを検証する2016年6月10日放送、「ナイブームを振り返ろう」も有名人枠として入りこんだ。

蟹のパンフレットこと、カニパンを集めるみうらじゅんが関西の旅行代理店から収集したカニに舌鼓を打つ旅行のパンフレットが紹介された。みうらじゅん曰く、都内では見かけないパンフレットで、関西に行った時のみ収集可能だそうだ。

シンスブームについても言及。主に店の操業年・シンス(Since)が書かれた看板の写真を撮影しコレクションしており、各店のシンスについてみうらじゅんが解説するというものであった。

みうらじゅんはシンスブームの影響で家ではヒヤシンスを育て始めたという話も。

ゲストはみうらじゅん、Kinkikids堂本剛、テレビ朝日アナウンサーの久保田直子は司会進行で登場。

4人目は2018年1月26日放送の「辞書マニア」の男性。

辞書の校正の仕事をしているという男性は広辞苑の第一版の1刷から29刷までの刷り違いまで集めたという。これは各刷でのわずかな違いを見つけ出すためだそうだ。

コレクター本人の自宅に収集された6000点を超える事典は圧巻。また、冊ではなく点でカウントするのは、ひとつの百科事典シリーズなどのセット物が10冊あっても、1点という数え方となる為、冊数となると当然ながら6000冊は超えてしまうそうだ。

現在の漢和辞典の基礎となった、約300年前に中国で発行された康煕字典(こうきじてん)なる中国の字書も収集されており、90セットが本棚の一番上に積み上げられていた。

ゲストは東京03の角田晃広、山田五郎。

最後の登場となったのは2013年10月25日放送、一人で山岳ガイド映画の制作を行う「自分撮り山岳ガイド映画監督」の男性だ。

企画・主演・監督・撮影・編集・音響・ナレーションを行う為、監督みずからでカメラの設定、撮影を敢行し、自身の登山姿を撮影するというスタイルで、何とこれまでに250本もの作品を制作。

2008年には国民文化祭にて文部科学大臣賞を受賞しているという最高傑作、「妙義道(みょうぎどう)とその葛藤」が披露された。群馬県の妙義山の登山道・妙義道の険しさを映し出す映像と、監督の心の葛藤(外国で平穏に暮らす息子を想いながらも登山という過酷な事をしている自分自身の葛藤:本人談)が評価されたそうだ。

ゲストは映画監督の大根仁、伊集院光。

有名人枠のみうらじゅん以外は、放送後についても本人に問合せたらしく、コレクションの数も増えているという嬉しい情報も更新されていた。