8年続いた安倍内閣が終わり菅内閣が誕生し、野田前総理大臣はようやく野田元総理大臣の敬称となった。
毎度お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部では春画をフィーチャー。
チェックのボタンダウンシャツに白パンツのタモリがスタジオに佇み、「最近は有名ブランドがTシャツを出したり、若い人が春画をポップに楽しむ、こういう風な傾向にある」と話したところでミュージシャンあいみょんが「私もポップに楽しんでいます」と言いつつ右から登場。
「官能小説じゃなかったんですか?」というタモリからの質問には「官能小説と同じくらい、春画も好き」だそう。「若い女の子に面と向かって春画をポップに楽しんでいますと言われてもねぇ」と苦笑いのタモリ。右からかまいたちの山内健司、濱家隆一が登場。以前の官能小説の企画の際も、この3人がゲストだったこともあり、あいみょんからの指名を受けてやってきたと話すも、首をかしげるあいみょんに「嘘の情報、止めてください」とスタッフサイドへ苦言するかまいたちの二人。ナレーションはもちろん、渡辺美佐。
春画の世界に肉薄したいと濱家が話すも、「でも、映せないだろ?」と冷静なタモリ。そこへ内山がコンプライアンスについては引き受けると豪語。
官能小説に続くあいみょんのハマりもの第2弾「春画」。春画というと性行為をしている男女に目が行きがちだが、今回は春画の脇役にスポットを当てる。
「これでアナタも春画通withあいみょん 輝け!第1回春画脇役大賞」
あいみょんは浮世絵が好きで葛飾北斎について調べていたところ、葛飾北斎も春画を描いていた事を知ったのがきっかけだそう。ブックオフで購入した私物「春画展(永青文庫)」(2015年の春画展の作品をオールカラーで掲載したもの)を紹介するとタモリも「俺も持ってる」と意外な一言。
この本の製本が本の背を糸でかがる「糸かがり綴じ」を採用しており、開いたページが勝手に閉じず、綴じ部分も隠れずに見えるような本となっているそう。
ここで、春画Tシャツを着用し取材を受けた際のあいみょんの画像を紹介し、続いてあいみょん激押し春画が登場。
歌川国芳(うたがわくによし)の「妖怪見立陰陽画帖」は若い女性の前に男性器の頭蓋骨の妖怪・しゃれこうべが立ちはだかるというもの。あいみょん曰く「ユーモアがあり、妖怪になっても尽きない性欲」。タモリ「小峠か?」
次の春画が渓斎英泉(けいさいえいせん)「地色早指南」という作品だが、テレビでの放送は不可の為、画像は確認できず。帯・棒などを使ったエクストリーム体位を9つ紹介している作品だそう。あいみょん「ありえへん体位なんです」。タモリ「現実的には困難なんです」。ここでタモリは興奮したのか、透明のアクリル板に手をぶつけてしまうというハプニング。おっちょこちょいなタモリ。
ここでリモート出演で京都精華大学・特別研究員の鈴木堅弘先生による春画の解説。先生はこれまで3500点もの春画を分析し、登場人物・背景を調査してきた。「脇役がわかれば春画はもっと面白い!!」のだそう。春画はシチュエーションが重要で、春画に登場する第三者がわかればより理解が深まるという。
女中・乳母部門では鈴木春信「風流座敷八景」。春画の中に描かれているのは障子の隙間から男女の情事を覗き見する女の姿が。タモリ「『家政婦はみた!』みたいなもんでしょ」。脇役の中でも「女中」が最も登場回数が多く、112点にのぼる。
先生の解説によると、お茶室で夜更けに夫婦が色事を始めてしまった場面で、障子の隙間から覗く女性には眉毛がない=年齢が高い、年増の女中または乳母と考えられる。また、夫婦の足元にある茶釜にも意味が。茶釜とは女性器の象徴で、湯釜に湯が沸く音と激しい性行為により出てくる愛液を表していると、春画上にある詩に書かれた「たぎる湯の音はしきりにさよふけてふるとそあめの板間にやもる」に表されている。この詩を読み解くと、覗いている女中が自ら愛液を漏らしているという意味なのだそう。
先生の解説に一同「おぉ~」となるが、こうしてノミネートされた脇役に対し「これは最終的にはどうなるの?」とタモリ。「大賞に選ばれた脇役はTシャツになります」と濱家。
当時、一流の浮世絵師こそ春画を依頼されていた。これを知った山内が「スピルバーグ監督が『パイパニック』とか『ハメナプトラ』とかを撮ってこそ一流」とボケるも「ちょっと違う」とやんわりとツッコまれる。
お次は友達部門。北尾重正(きたおしげまさ)「吾嬬土産(あづまみやげ)」
年上の女性が元服前の男の子を誘惑し、女性の友人が覗いている。窓の外には梅が咲いており、和歌の世界でも梅は初体験を示しているそう。
動物部門からは歌川国芳「逢悦弥誠(おうえやま)」
旦那に囲われた愛人が伊達男を部屋に招き入れて情事を行う。
江戸時代、春画は笑絵(わらいえ)と呼ばれ、第三者・状況を描くことで笑える絵となり楽しまれていた。
豆男部門は鈴木春信「風流艶色真似ゑもん(ふうりゅうえんしょくまねえもん」。情事を行う男女の右にある机の下から小さな男「真似ゑもん」が覗いている。机の上には習字のお手本らしき帳面がある。手前には梅の花が咲いている。先生の解説によると、お習字の先生の教室で先生が生徒に手を出すというものだそう。強引なやり方に真似ゑもんが可哀そうだと思いながら見ているとうシーンだそう。着物には椿が描かれており、和歌の世界では処女性を失うという意味を持つ。
最後は地蔵部門。勝川春堂(かつかわしゅんどう)「会本見男女沙目(えほんみなめざめ)」。3500点の春画の中でも出てくることのあまりないシチュエーションだそう。
旦那さんを無くした奥さんがお墓参りに来て、そこのお坊さんがしかけているというシチュエーション。そこにある地蔵が「こいつらはおれのまえでとんでもないやつらだ いしだとおもってばかにしたらあてがちがうぞ」とセリフが入っている。女性は嫌がっておらず、主人と別れて4年ぶりに情事を行うことになり、喜んでおり、お坊さんはこれでこそ本当の功徳になると言っているという驚愕のシーンであった。
あいみょんが決めた大賞は地蔵部門。早速Tシャツを作成し、山内が着用。あいみょん絶賛で番組は終わった。
エロスから垣間見える芸術と文化、流石と唸ったタモリ倶楽部であった。