東京トラップ

 久々に東京トラップに引っ掛かってしまった。私は電車の乗り継ぎが上手くいかないことを東京トラップと呼んでいる。特に新宿や浅草で起こりやすい。何故か?それは新宿と名の付く駅が多数存在しているからだ。中でも「西新宿駅」と「新宿西口駅」は紛らわしい。浅草は「浅草」駅と「浅草橋」駅で間違ってしまう。

 私は滅多に乗らない浅草線に乗り、浅草駅で下車しなければならないところを、浅草橋で降りてしまった。本来であれば東武スカイツリーラインに乗り換えなければならないのであるが、駅を出ても東武線の標識もないし、スマホの表示する地図とは様子が随分違っていた。私は険しい顔でスマホと駅の名前を見比べ、「浅草」と「浅草橋」の違いにやっと気付いた。

 自らの過ちは本当に腹立たしい。私は眉間にしわを寄せたまま首を横に振り振り、仕方なく浅草橋駅のホームに戻り、二駅先の浅草駅へと急いだ。この時間、私は既に予定の場所へ到着している頃だった。滅多に乗らない電車で見知らぬ所へ行くのは心細い。その上、電車から見える風景には見慣れた高層ビルなど無い。少しづつ都心から離れていき、それも私の心を不安にさせた。東京タワーの切れ端が見え、白々しい高層ビルに見下ろされた粗末な自分の部屋を恋しく感じた。こんな辺鄙なところに来るんじゃなかった、とさえ思った…と言っても、都心からそう離れていない墨田区の曳船というところに私は来ていた。都心から30分程のところだが、下町感満載の地域であった。狭い路地に戸建ての家がひしめいている地域だった。

 この東京感ゼロの場所に、私は落語を聞きにきていた。東京のよいところは触れたいと思う文化にすぐに触れられるところだと思う。映像ではなく、目の前で噺家の繰り広げる落語は本当に素晴らしい。しかもそれが1500円という破格の金額で観られるのだ。なんて素晴らしい。東京トラップによる遅刻で演目を一つ見逃してしまったが、それでも2席も観る事が出来たのでよしとしよう。

 浅草橋、もう私はひっかからないぞ!!

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